20.心の病から早期完全復職の重要条件

「心の病」からの早期完全復職の重要条件
~「家庭内治療環境」を整えることが必要~

心の病の問題は、年を増すごとに大きくなってきています。このテーマは、予防保全が欠落していることが致命傷ですが、その問題は後にゆずるとして、不幸にして「心の病」になってしまった方々の問題を考えて見ましょう。そこには、非常に多くの問題が横たわっていることに驚かされます。

心の問題の現状

1.日本国内での年間自殺3万人以上が、連続して13年過ぎました(この3年は3万人を切ったが)。合計すると自殺の意思を持てる年齢に達しかつ、実行できる人が、13年間で40万を超える人が自殺をしている。この人数は岐阜市・西宮市・枚方市・宮崎市クラスの市が一つ完全に消滅するほどで、島根県の人口の50%強の人数に匹敵します。すごい数です。

2.自殺の半分は「うつ病・うつ状態」だと言われています。

3.この間、どのようなことが行なわれ、どのようなことが起きているか?箇条書きにしれみると。
  1)精神科医は急増しています。
  2)カウンセラーは激増しました。
  3)心の問題をテーマとする講演者が雲霞のごとく湧き出してきた。
  4)担当官庁ではいろいろな指針やガイドラインを出しました。
  5)会社・労働組合・健康保険組合・自治体などでは、頻繁に「心の問題をテーマ」とする講習会が開催されてきた。   
  6)町中に「メンタルクリニック」があふれている。
  7)心の問題相談室・電話相談会社が過当競争に落ちいっている。
  8)心の病に「良い薬」が発売されたという。良い薬が出れば、当該の病気は減少するのが歴史の事実なのだが、心の関係の病気は何倍にも増えている。何故だ! 是非この点を深く掘り下げて考えよう!
  9)心の問題に対するマスコミ報道も激増している

4.新聞・TV・雑誌・ラジオなどに多くの専門家が登場して、問題があったら専門家に相談するようにアドバイスする。専門家に相談したらどうなりますかと重ねて問うと、薬を飲めば良くなりますという答えが返ってくる。 

5.心の病関連の薬は、製薬会社のドル箱になるほど使用されているが、病人は増え続けている。

6.心の病の患者は、6種類程度の薬を処方されているのは普通で、10種類を超える薬を処方されているのも珍しくない

7.心の病、特に「うつ」は半年から一年で治りますと、大先生たちは言うし、書いているが、3年も5年も治らないで、職場から離脱をしなければならなくなったり、子供の学資がなくなったり、ローンが払えなくなったり、離婚によって家族が離散になったりという、数々の苦しみや悲劇に直面している。
注目の書籍(他にも多数あり) 

8.「ドクターズルール425」(元・京都大学医学部 福井次矢教授 訳)南江堂には、 アメリカの医師に対する警句が425項目掲載されているが、その中で強烈な印象を与える文に「可能ならすべての薬を止めよ、それが不可能なら出来るだけ多くの薬を中止せよ」「4種類以上の薬を飲んでいる患者の比較対照試験は行なわれていないので、4種類以上の薬を飲んでいる患者は医学の知識を超えた領域にいる」とある。

9.「なぜうつ病の人が増えたのか」(パナソニック健保 冨高辰一郎 精神科医 著)幻冬社ルネッサンスには、病気になった社員の資料を見ていると、病気による不調なのか、薬の副作用による不調なのか区別がつかないほど沢山の薬が重複して処方されていると記している。

10.「うつ」を克服する改善の方法(薬学者 生田哲 著)講談社+α新書には、アメリカのデューク大学医学部の実験では、SSRI(うつに最も多く使用されている)の治療効果と有酸素運動による治療効果はほとんど変わらないが、6ヶ月効果持続率では薬は55%で有酸素運動では90%。更に再発率では薬が38%で有酸素運動では8%であったと記されている(十分な酸素の取り込み 呼吸問題)。この中には考えなければいけないことが沢山含まれている。

11.新「薬に賢くなる本」(薬学者 水島裕 著)講談社ブルーバックスには、心の病の薬は病気のコントロール(押さえ込み)には不可欠だが、病気の完治には至らないとある。

12.「抗うつ薬は本当に効くのか」(アービング・カシュー著 石黒千秋訳)エクスナレッジ には「うつ病について」全く逆作用の薬が同じ効果である。今までの脳内物質論は根拠を失っているのでは?
治療の現実

13.患者は普通は2週間に1度診察と薬の処方と若干のアドバイスを受ける~無理するな・ゆっくり休めなど~

14.家族は病人への対処の仕方・理解を得るために「家族の会」などへ参加する。そこで、ゆっくり休ませなさい、焦りは禁物、本人の思い通りにしてやりなさい、家族の理解が何より大切(家族の理解とは何を、どうする、どこまで、どのような状態にすることか?具体的には?)です、処方された薬はシッカリ飲ませなさいなどのアドバイス受ける。

15.本人も家族も出来るだけ早くどうしても治って以前のようになりたい。それなら完治の可能性が高いなら、よくよく調べた後に、思い切った行動をすることが必要では・・・。

16.多くの前例・実例を見ても完治せずに病人の山(病人が治らずにどんどん累積している)が出来ている。この状態を放置していいのか。現状を突き破るエネルギーが絶対に必要なのです。  39

17.職場復帰も中途半端で通院しながら、しかも多量の服薬をしながら「○○部長付き、△△特命担当、人事部付きなど」という復職という仮面をかぶった「仮面復職」(仮面治療?)で、不本意な職業生活を強いられる。そのために周囲の仲間に非常に多くの負担をかける。

18.組織も十分に能力を発揮できない状態のメンバーを抱え続けなければならない。
家庭内の現実

19.家庭内で:病人の側の状態
  ①明るさがない(暗い) ②話しかける雰囲気がない  ③つっけんどん  ④柔らかさがない  ⑤表情が硬い
  ⑥話しかけても(うん・いや・いらない等~単語の返事~) ⑦すぐ疲れたの連発  ⑧すぐ寝る  ⑨不機嫌な態度
  ⑩何かと不調を訴える  ⑪薬の副作用でいつも「どんより」している  ⑫家族はどうしてよいか分からないので敬遠しがち  ⑬家族内で無言の関係が続く  ⑭無視された・分かってくれない等の被害者意識をもちがちになる
  ⑭家庭内で会話が成立しない  ⑮家庭内から完全に笑いが消える  ⑯すぐ腹を立てる  ⑰接触・コミニュケーションがなくなる ⑱家庭内で家族との接点がなくなっていく ⑲薬の副作用でどうしても精神活動は鈍麻してしまう

20.家庭内で:家族の側の状態・感情               
  ①いくら説明を受けても病気の本質が分からない  ②励ましてはいけないという病気は知らない  ③本人のしたいようにさせておくのが良い  ④すぐ寝てしまう ⑤寝たいときに寝るから昼夜が逆転してしまう場合が多くなる
⑥それで夜に眠れないという  ⑦アドバイスがプレッシャーになるといけないから放置している  ⑧生活は規則的なのがいいというが乱れたまま  ⑨話しかけても反応が鈍い  ⑩患者に対して家族は文字通り腫れ物に触るようになる  ⑪病状が回復したとして復職するが直に、疲れる、起きられないという状態に戻ってしまう  
⑫経済は行き詰る  ⑬子供の進学問題を控えて方向が出ない  ⑭話を詰めようとするとすぐに立腹して話は中断になる  ⑮患者の家族の会ではとにかく「我慢」だと言われる  ⑯家族の気持はバラバラになってしまう
⑰親兄弟親戚への借金が溜まる  ⑱ローンの支払いもとどこうる  ⑲会社の支援期限にも限度がある  ⑳夫婦関係にヒビが入る  家族の理解が病気の回復には一番だと言うが、理解は益々遠のいてしまう 家族は家族ではなく不仲な同居人の集団と化す。
新しい道を開く~「家庭内治療環境」の整備・構築~
※家庭の理解が大切としながら方法論がなく実は家庭が「治療的空白地帯・真空地帯」でした 
家庭内治療環境とは、夫婦・家族で毎日数回「心の体操」を一緒に継続し相互チェックをすることに加え、FP-skincation(メンタル総研 語)によるスキンシップと会話を自然に誘発することによって治療と回復を進めるための方法論です。夫婦・家族でなければ出来ないチェック・確認があり、これは重要なポイントです。更に、病者の理解を進めることと、配偶者・家族の心労の回復を同時に行うことになり有効です。

21.新しい「家庭内治療環境」を構築する
   上記19と20を一緒にした、意識・思いが家庭の中に充満し渦巻いていて、今までの治療の毎日が過ぎていたのです。この状態では病気の回復が期待できる環境と考えられません。おまけに薬は症状を押さえ込むだけ、多剤併用の副作用が不調をつくり、更に自殺を誘発するかもしれない薬を知らずに飲んでいた、家庭の中は不安と誤解と絶望が渦を巻いている。これでは改善は望めないので、別の道を探らなければならない。
   とにかく新しい「家庭内治療環境」を作るために、議論を尽くし、費用、復職、支援集団(会社・労組・健保・親兄弟・友人・知人etc)の協力を得る方策を考えるべきだし、支援集団もその責任者も本人たちを説得してでも、新しい家庭内治療環境構築を強力に促進することが、会社や健保に取ってもトータル・コストの大幅削減になる。
何よりも、本人も、家族にも、結果として回復と早期完全復職がもたらされ、そして喜ばれることになる。すべての関係者が「好ましい状態になる」道を開くべきです。

22.「家庭内治療環境」作りの中心的役割りは「人生のパートナー」と同じことをすることで理解をし協力をし、快適ポイントの探査のためのスキンシップと会話の進行で、関係性強化と気分・調子の確認が出来る。
今までと同じことをしていたら、今までと同じ悲しい結果しか出ないことを、肝に銘じるべきです。

23.「家庭内治療環境」構築のスタートは、一番長く、一番親しい人たちと生活する、家庭という場が最大の治療拠点です。「心の体操」を夫婦・家族で受講(出来れば夫婦合宿・メンタル総研)し、毎日、数回夫婦・家族で相互チェック・確認をしながら続けることから始まります。そこにはスキンシップも会話も自然に湧き出してきます。 

★24.新しい道は失敗続きの前例踏襲や他社事例からは絶対に開けないことだけは確実です。今までと同じ種類で同じレベルの「貴方任せ・権威」第一主義では、今までと同じ結果しか出ません。苦しみと無駄な出費が続くだけです。

25.全ては担当部門責任者と担当者と関係者の「センスとエネルギーと責任感」にかかっています。貴方が救済の口火を切る人です。

26.産業医には、「モデルつくり」に協力を強く要請してください。貴方の熱意が産業医を動かします。

27.すべての新しいことは「蟻の一穴」から始まります。

久保田 浩也 メンタルヘルス総合研究所 代表
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東京都千代田区神田須田町1-7-1
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